ぱらぱらと舞う雪。寒空の下の屋上。それらが死に際の遠香の姿を鮮明に浮かび上がらせる。だから、出来るだけ関わらぬように注意して生きてきた。冬になるとカーテンを閉め切り、出かける前は天気を確認する。それでも学校に行くのは、休んで皆に余計な心配をかけたくないからだ。

雪啪啦啪啦飞舞着。寒冷的屋顶死前远香的笑容又清楚浮现。但为了生存，尽可能不去想它，一到冬天就关紧窗帘，出门前确认好天气，即使上学或休息都不想额外增加大家烦恼。

　看護師が戻ってこないのを確認してから側のブラインドを下げる。ようやく動悸も治まり、寝転がった。病院にいるのは苦痛でしかなく、長く入院していられる人の気が知れない。俺なら気が狂いそうだ。

确认护士没返回，才拉下旁边的百叶窗，好容易不再心悸，又躺下睡觉。只有长期住院的人才知道医院的痛苦，我快要疯了。

　しばらくしてから検診を受けた。術後の状態は良好。炎症も治まり、体温も平熱通り。自由に歩き回れるようになり、さっそく院内を徘徊することにした。

接受很久的复诊之后，术后状态良好，炎症消失，体温平热达到自由行走的程度，马上在院内游荡。

　俺が入院してるのは外科病棟だが、この市民病院には様々な分野が乱立している。

我住在外科病楼，这座普通医院部门很乱。

　よく世話になっている精神科もここにある。

经常麻烦的精神科这儿也有。

　昔は良く発作を起こして搬送されていたし、今も通院している。要するに、この若さにして常連なのだ。

以前一发作就送来，现在住院，总之这是年轻人常见的病。

　構造も把握してるし、心臓外科の権威がいるなんて話も聞いたことがある。ただ、他の病棟を徘徊するわけにはいかず、内部は知らない。人通りの激しい外科病棟の廊下に荷物が乱雑に置かれてるとは思いも寄らなかった。

情况了解到心脏科很出名，其他的病楼还没去过，还不了解。但外科病楼的走廊里人群涌动杂物随意堆放让人不舒服。

　そんなことに驚きながらナースステーションの前を通り過ぎた。

让人惊奇的是前面有个护士科。

　エントランスのように拓けた場所を通ると、重病患者の多いフロアに着いた。この辺は動けない患者が多く、比較的静かだ。すれ違う看護師に怪訝な顔をされるが、無視して歩き続けた。

通过像是入口似的开阔地带，来到有很多重病患者的底楼。这儿有很多不能动的患者，比较安静。我不管迎面而来惊讶的护士，继续前行。

　そうして病棟の端が目前に迫ってきた時、近くで何かが落ちる音が響き渡った。びくりとして音がした方に視線を向けると、そこには病室があった。この辺は確か、個室のはず。

走到病房前端时听到东西落地的声音，大吃一惊，望向声响处，那儿还有间，在这儿单独配置的病房。

　突然扉が開き、看護師が泣きながら飛び出してくる。初々しさがある、箱入り娘といった雰囲気の女性だ。偏屈じじいから嫌がらせでも受けたのだろうか。

突然门打开，护士哭着从里面跑出，是个涉世未深的倔强的很难伺候的千金小姐模样。

　興味本位で病室を覗いた。そこはやはり一人部屋で、病室にしては広めの造りだった。とても殺風景で、ベッドと医療機器以外は本が少しばかり。そんな部屋の床には食器が転